個人事業主にも住所印は必要?会社で使う住所印との違いも解説

会社員から独立・起業して個人事業主になった方、あるいはこれから開業する方にとって、ゆくゆく必要になるのが「住所印」です。
住所印とは、名前や住所などを書類に記名するときに使うスタンプのことで、主に手書き作業を減らしたいときに使用します。そのため、以下のような悩みを抱えている個人事業主の方には、書類作業の負担を軽減できる住所印の準備をおすすめします。

  • 字を書くのが苦手なため、書類作成に苦労している。
  • 開業当時よりも書類作業が増えたため、いつも忙しい。
  • 開業に必要な書類が多く、手書きで書くのが面倒くさい。
  • お得意様に送る挨拶状やDMが増えたので、宛名を書くのが大変。

この記事では、個人事業主が住所印を持つメリットや、おすすめのスタンプの種類についてまとめています。
気になる方はぜひ、参考にしてください。

住所印は個人事業主にも必要なアイテム

スタンプを押すだけで連絡先を記名できる住所印は、書類作業が多い事務職の必需品と言えるアイテムです。
しかし、日頃からたくさんの書類を取り扱う一般企業と違って、個人事業主にそこまで住所印を使う機会があるのか疑問に思う方もいるでしょう。
結論から言いますと、住所印は個人事業主にも必要なアイテムです。
理由は冒頭でも述べましたが、個人事業主として事業を展開していけば必然的に書類作業が増えるからです。
昨今は電子文書OKの企業が増えてきていますが、それでも零細企業をはじめ、電子契約未導入の企業は少なからず存在します。
そのため、書類作業効率化のためにも、住所印を持っておくことをおすすめします。

住所印の使用が可能な書類とは?

住所印は、売買契約書や請負契約書のような署名が必要とされる書類には使用できませんが、普段の業務で取り扱う書類には大体使用できます。
なお、署名とは本人が自筆で氏名を書き記すことで、記名(自筆以外の方法で氏名を記すこと)と違って法的効力を持ちます。

住所印が使用できる書類の一例
  • 請求書
  • 納品書
  • 見積書
  • 小切手、手形
  • 封筒、ハガキ

会社で使う住所印との違い

住所印を作成する際、印面には住所・代表者名・社名または屋号・電話番号などの連絡先を入れるのが基本です。
そのため、形式上では会社で使う住所印と個人事業主の住所印に違いはありません。
しかし、個人事業主は法人登記をしていないことから、使用できる肩書きに違いがあります。

個人事業主の住所印に肩書きは追加できる?

法人の住所印の場合は、代表者の名前と合わせて役職名を刻印するのが一般的です。
個人事業主の場合はそのような決まりはなく、名前のみにするのも肩書きを追加するのも自由です。
ただし、個人事業主は法人登記をしていない以上、会社法の定めがある「代表取締役」や「取締役」は肩書きに使用できません。
株式会社の代表者ではない個人事業主が、「代表取締役」や「取締役」と名乗ると虚偽にあたるため、住所印はもちろん名刺での使用も避けましょう。

会社法
第四節 取締役
(業務の執行)
第三百四十八条
 取締役は、定款に別段の定めがある場合を除き、株式会社(取締役会設置会社を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。

出典:会社法(平成十七年法律第八十六号)|e-GOV法令検索

「代表」であれば、個人事業主でも使用可能

個人事業主で住所印の印面に肩書きを入れたい場合、事業を代表する者という意味での「代表」ならば使用できます。
また、ショップの経営者であれば「店長」、施設の経営者ならば「所長」というように、事業内容に合わせるのもおすすめです。
他にも、イラストレーターやデザイナーのようなクリエイティブな仕事をされている場合は、それを肩書きにすることで自身のブランディングに役立ちます。

個人事業主は「社長」とは呼べない?

個人事業主で、普段周りから「社長」と呼ばれている方もいらっしゃるでしょう。
「社長」に関しては、一般的な呼称であるため法律上の定めはありません。
しかしながら、世間一般では「社長は会社の最高責任者」という印象が強いため、住所印や名刺への使用は控えた方が無難です。
会話の中で名乗ったり、呼ばれたりする分には問題ありませんので、あくまで記名に使う場合のみと覚えておきましょう。

買うなら「組み合わせ住所印」がおすすめ

住所印には、印面が固定されているタイプと印面の切り離しができるタイプの2種類があります。
印面固定タイプの住所印は木台・アクリル台・シャチハタとスタンプの種類が豊富ですが、印面が切り離せない分用途が限られます。
一方で、印面の切り離しができる組み合わせ住所印(分割印や親子印とも言います)は、様々な用途に使用できるためおすすめです。

組み合わせ住所印について

  1. 組み合わせ住所印
    組み合わせ住所印とは、押印する書類に合わせて印面の切り離しや組み替えができるハンコのことです。
    一行ごとに付けたり外したりできるので、例えば転居で住所が変わった場合も、住所の行だけの買い替えで済みます。

おすすめする理由

組み合わせ住所印は、用途に合わせて自由に組み替えできるのがメリットです。
例えば、後からメールアドレスやウェブサイトのURLを追加したくなった場合、印面固定タイプだと丸ごと作り直さなくてはなりません。
しかし組み合わせ住所印なら、追加・変更箇所のみ一行印として購入すればいいので経済的です。
また、必要な行だけ取り外して持ち運びもできるため、銀行や役所などの出先でも手早く記名できます。

こんな人には特におすすめです!
  • 消耗品費をなるべく抑えたい
  • ハンコをいくつも持ちたくない
  • コンパクトに持ち運んで使いたい
  • 様々な書類に対応できる住所印がほしい

個人事業主が住所印を持つメリット

書類作成の時間を短縮できる

個人事業主は、経営と同時に書類作業もこなさなくてはなりません。
事業が波に乗ればそれだけ得意先も増え、送る書類の量も増えるでしょう。
そんなときに1枚ずつ手書きしていては効率が悪いですし、そもそも自筆が求められる書類を除けばスタンプを使っても何ら問題ありません。
住所印なら手書きに起こり得る書き間違いや、字の上手さも気にする必要はありません。
また、押印だけならインキをつける手順を挟んでも10秒とかからないので、書類作成の時間を大幅に短縮できます。

名前を覚えてもらいやすくなる

固定印面タイプの木台住所印・アクリル台住所印の場合は、印面に枠柄やイラストなどの装飾を加えることができます。
例えば、店のコンセプトにマッチした枠柄・イラストが入った住所印を使えば、ただの封筒やハガキも視覚的に楽しくなります。
また、店のロゴやイラストを入れることで他社との差別化ができるため、顧客に認識してもらいやすくなります。
会社よりも自由度の高い個人事業主ならではの遊び心ですので、ブランディングとしてもおすすめです。

普段の郵便物にも使用できる

個人事業主で事業を自宅で行っている場合は、1つの住所印で事業の郵便物と普段の郵便物の両用ができます。
実印や銀行印はリスク分散のためにも使い回し厳禁ですが、住所印の場合は連絡先が同じであれば使い回しても問題ありません。
なお、組み合わせ住所印であれば、郵便物や送り状に合わせて連絡先を入れ替えできるため、さらに使い道が広がります。

よくある質問Q&A

木台住所印を持っていますが、組み合わせ住所印も買った方がいいですか?
すでに住所印をお持ちで、現状特に不便がなければ新たに購入する必要はありません。
ですが、木台住所印は印面が固定で使いづらいという場合や、今後住所が変わる可能性がある場合は、組み合わせ住所印の購入を検討してもよいでしょう。

まとめ

これから開業する方や最近開業したばかりの方は、住所印の活躍場面をイマイチ想像できないかもしれません。
ですが、今のうちから用意しておけば、来るべき書類作成のときに余裕を持って作業を行えます。
また、自宅が事業所を兼ねている場合は、仕事とプライベートで同じ住所印を使用できるため使い道も広がります。
持っておいて損はないアイテムですので、これを機に1つ作成してはいかがでしょうか。

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